原材料名:米(国産)、米麹(国産米)
原料米:佐香錦100%(島根県産)
精米歩合:50%
アルコール分:16度
※酸度8.0※
酵母:無添加
酒母:きもと
火入れ:2回
酒造年度:R5BY
おすすめ温度帯:冷酒(10~15度)、冷や(常温)
【数量限定】
“新たな日本酒の境地、酸味を伴う自然醸造酒、齋香荒第二弾です”
齋香荒第二弾は2回火入れver.です。
お酒自体は全く同じですが、熟成期間と火入れの回数の違いで、酸はしっかりあるが、よりまろやかでスムースな飲み心地へと変わりました。
底が知れない酒です。
もともとは無窮天穏齋香を造ろうとしていたところ、偶発的にできたお酒、それがこの「齋香荒(サケル)」です。
シンプルに齋香が荒れたので齋香荒(サケル)。
酸度が8.0ですので、天穏にはない酸、というか日本酒ではなかなか出ない酸の高さです。
(白ワインはものによってこのくらいの酸度があります)
ですので、いつもの天穏とは全く別の酒であることをまずはご理解ください。
天穏といえば穏やかで、軽やかで、飲み心地が良く飽きない、長く飲める酒が主流です。
しかしこのサケルは酸が立ち、甘酸っぱく(酸強め)、溌溂とした味わいが主で主張が強いです。
正直これ単体で飲み進めると、酸が気になります。
ですが、やや冷やして食事中に味わうと不思議なまでにスムースに飲み進められます。
酒自体はきもと純米大吟醸(米を削って、麹も突きハゼ、低温発酵)で造っているので、非常に綺麗で繊細な甘みや味わいがベースにあります。
空気に触れさせるとさらにまろやかな味わいへと変化していきます。
今のところやや冷やした状態がベストかと思います。
ちなみに普段日本酒を嗜む方より、ワインを好んで飲んでいる方への受けのほうが良いです。
これからの熟成でどのように変化していくかは未知なところがありますが、短期の熟成(1ヶ月以内)では味わい全体的に角が取れていくような印象。
今後の熟成でお燗も良くなるかもしれません。
(今でも乳酸の香りが気にならなければ面白い仕上がりになります)
小島杜氏の新境地。
イレギュラーな酒ですがお試しください。
酒の新しい1ページが開かれるかもしれません。
(以下酒蔵コメント)
◎齋香は繋げる酒、齋香荒は避ける酒
製品名は齋香が荒れたので齋香荒(サケル)です。
ここからはほとんど知られていないお酒のお話です。
いままで齋香を通して人と神と御神酒の関係性をお伝えしてきました。
現実世界の人と空想上の神(自然+祖先)は決して交わらない存在ですが、神から人への作物と水と土の贈与、人から神への御神酒の贈与という人間の頭の中の想像によってそのあいだに関係性を造り、人と神、人と人を繋げて巨大な群れをつくり日本は発展してきました。
人と神を繋げると大きな利益を生みますが、一方で神に近づきすぎると大きな災害も与えられます。
畏れ敬うという言葉から伝わるように、昔の人は人と神を繋げる縁起儀礼と、人と神を引き裂く縁切り儀礼を使い分けていました。
神社や鏡を境に人と神の住処を分けたり、お祭りには期限があったり、ハレやケ、ケガレという言葉があったりと非常にオン・オフを大事にしていました。
日本酒造りの原型を日本に伝えた秦族の神社である京都の大避神社を調べると、酒は齋香という神への供物という意味の他に、避ける、裂け、割く、境という意味を持っていたことがわかります。
酒という言葉は、人と神を繋げる齋香という意味と人と神の繋がりを裂くという表裏一体の意味をはらんでいます。
しめ縄が神事で用いられる理由も繋ぐことと割くこと、境を造ること、結んで開いてが同時に出来るからと思われます。
今回の乳酸発酵のもろみを受けて、私はこの齋香と避けという日本酒の表裏の世界が頭に浮かび、神(野生)に近づきすぎてしまったと感じました。
酵母と乳酸菌、齋香と齋香荒という表裏一体の微生物の活動を間近で見て酒造りの恐ろしさを痛烈に浴びせられました。
実は酵母や乳酸菌などの生酸菌は植物が光合成でつくった糖やセルロースを分解して酸を貯め、外界的要因つまり自然界では岩や砂などの鉱物、蔵ではタンクのような容器を溶かして土に還そうとしているだけなのです。
土は動植物とその分解有機物、微生物、鉱物、ガス、水が混ざった酸性のもので、お酒の醪も実は土の発生の仕組みと同じ構造をもっています。
自然界にとって酵母や乳酸菌が増えて酸を貯めることは鉱物を溶かして植物にミネラルを供給するための真っ当な営みなので、今回の現象はなんとも自然なことなのですが、現代の酒蔵や杜氏にとって乳酸菌醪は致命傷です。
大きな失敗ですので私もこの先どうなるか分かりませんが、サケル自体はとても美味しいので少しでも楽しく飲んでいただける結果となるととても助かります。
サケルの味わいは私たちの知っている日本酒とは異なって、ほとんどナチュールの白ワインの香味と同じです。
しかしこのサケルの性質と背景はいままでに表現できなかった日本酒の「避ける」の部分の世界を持っているという意味ではとても日本酒らしいと感じました。
つらいですが齋香と齋香荒で日本酒の表裏が造られたことにもなります。
ミードやKODANEやリキュールのように天穏の幅を広げるお酒と捉えていただけると幸いです。
今後は様子を見てタンク貯蔵し、熟成形で出していくかもしれません。よろしくお願い致します。
※写真は撮影当時のもので、製造年月日が異なる場合がありますので予めご了承ください。
※酒造年度は商品説明文(ブレンド等、記載してない場合があります)に記載、正確な製造年月日が気になる方はお問い合わせください。
¥3,300(税込)
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